放送デジタル化におけるNHKの失策

知ってのように、テレビ放送のデジタル化にあたって、無料放送・有料放送に関係なくB-CASカードを挿さないと視聴ができなくなった。

お役人の天下り機関の設立とかいろいろ裏の事情があったのだろうが、この時に、何故、NHKはB-CASカードの別売とその独占販売権を提言しなかったのだろうか?

現状では、NHKは放送法を盾に勧誘員を物量投入までして契約させようとしている訳だが、あくまで契約なので、応じなければそれまで。特に罰則がある訳でもないので、いつまで経っても解決することはない。企業の経営という目で見れば、勧誘員に無駄に経費を払っているだけ。

折角、テレビのデジタル化の際に、視聴のためにB-CASカードを必須としたのだから、テレビ本体とB-CASカードを別売にし、更に、放送法を盾にB-CASカードの購入の際にNHKの契約を義務付ければ良かったのではないだろうか? 実際の販売は家電量販店に委託でもよいだろうし、方法はいろいろある。通販での購入となると、多少、厄介かもしれないが、B-CASカードはどうせ定価販売になるだろうから、どこで買っても同じになるため問題は生じないだろう。BSの契約については、B-CASカードの購入の際に、ユーザに地上波専用カードか地上波・BS両対応カードかを選んでもらえばよい(既に、地上波専用カード、地上波・BS両対応カード共に存在している)。

契約とセットの別売ならば、契約を盾に裁判も起こしやすくなる(現状でも、NHKは未払い者に対する裁判費用にかなりの額を支出している)。また、単なるゲーム機のモニタとして欲しい人などはB-CASカードを購入しなければ良いだけで、今現在でも、ゲーム用などといった理由で契約を拒否している人にとっても、特に、不利益にはならない(額面通りの使い方ならばだけど)。更に、無駄な勧誘員も不要となるためその経費も浮く上、テレビを持っていない人が柄の悪い勧誘員に頭を悩ませることもなくなる。一石二鳥どころか一石三鳥、一石四鳥にもなった可能性があったはずなのだ。

そうなると、今のように、B-CASカード不要な端末に対して、ワンセグを理由として受信料を請求できなくなるかもしれない。しかし、ケータイ、カーナビなんかにおけるテレビは、オマケであってそれが本来の目的ではないのは明らか。間違いなく、テレビ(それもワンセグ)を見られることを重視してケータイやカーナビのを選ぶ人は極少数である(ケータイなら、電池の持ちやデザインやレスポンスなどだろうし、カーナビならルート検索能力や地図の良し悪しなどだろう)。普通の感覚で判断するなら、放送法64条における受信料の対象外である「放送の受信を目的としない受信設備」でしかない。そのような法律の解釈によって契約対象かどうか判断が分かれる枝葉末節の受信料を回収するために、高い人件費を払ってまで勧誘員を雇う必要性は何処にあるのだろうか?

今にして思えば、ホント、B-CASカード導入で何もしなかったのは、NHKの失策以外の何物でもなかったな。

この記事へのコメント

2016年11月14日 16:48
ところが後継規格ではカードではなく内蔵となるらしいですよ。
別売なんて考えていないどころか、「内蔵してしまえばハックできなくなるんじゃね?」というよう思惑が見え隠れしているような気がします。
ネット配信も見通しがついたことですし、ついでにネットワークを介して情報収集できる仕組みを作れば効率良く勧誘員を派遣できるようにもできるかもね。
考えられないような浅はかさだけど、こういうことを本家で考えていそうで怖いですね。

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